光の道

夜の海を、時には満月に照らされて、時には数え切れないほどの流れ星に囲まれて、時には霧の中をコンパスを頼りに進む。
夜光虫が真っ暗な海に、光の道を作る。
船の横を泳ぐイルカの背びれからも光が生まれる。
ウミガメからも魚からも。
夜の海は真っ暗だと思っていた。
こんなに光に満ち溢れているとは思わなかった。
もちろん真っ暗で何も見えない夜もあるけれど。
経験しなければ知らないこと、やってみなければわからないこと。
世界はとても大きくて、一つ一つの命はとても小さく、短いものだけれど、その短い命のつながりがこの世界を作っている。
母なる海。
時々揺れすぎて気持ち悪くなる時もあるけれど、揺りかごのような船に揺られて南へ進む。
固体の上を走るのとは違って、水の上はゆっくりとしか進めない。
平均時速6ノット。
1ノットが0.51メートルなので、時速3キロちょっと。
遅い。
でもそれでも、少しずつ進む。
気圧や温度差から風が生まれ、風が波を作る。
逆らわず、受け入れる。
海の上にぽかんと浮かんでいると、自分の小ささを改めて感じる。
地球が丸いのを感じる。

少しずつ黒くなってきた。
種子島を思い出す。